昨日のブログの続きです。
まずはこちらの記事から読んでください。
今年の事例Ⅰを過去の問題と比較する(その1)
https://www.ebatokyo.com/news/1907
②最大の理由
今年は事例Ⅰの第1問と第5問で「最大の理由」が問われました。
この設問設計は平成28年事例Ⅲ第3問で初めて採用され、平成29年事例Ⅰ第1問でも採用されています。
このような設問設計を採用する狙いは受験生の「複数列挙」対策です。
今年は6,000名が受験する想定外の年であり、例年の1.3倍となった答案の採点コストを削減するための施策としても採用されたと考えています。
EBAでは最後の演習問題(事例Ⅲ)で以下のような設問を出題しました。
第3問(配点20点)
C社では、品質不良の改善活動に取り組んでいる。この改善活動を最も効果的に実施するための施策について、図2も参考に具体的に100字以内で述べよ。
設問設計上、結論を1つといて編集していない場合は加点されません。演習問題では割と多くの受講生がこの条件を無視していました。
第1問は「最大の理由」として問われていますので、結論は1つとして編集する必要があります。すでに見てきた通り、A社がメンテナンス事業で成功できなかった理由は複数あります。100字という字数制約からも、出題者の意図は「複数の要因のうち1つを選べ」ではなく、「複数の要因を1つの理由としてまとめろ」であったと考えられます。
1.コア技術を活かせなかった
2.メンテナンス事業でのノウハウがなかった
上記に共通する1つの理由として、何が見えますか?
答えを知りたい方は11月27日発売予定の「企業診断12月号」をお読みください。ここでは今年の2次筆記試験の総評と解答例を掲載予定です。
そこまで待てないという方は、11月3日の分析解説会にご参加ください。ここでは解答例だけでなく、設問解釈から与件解釈、編集までを詳細に解説します。また、昨年の再現答案得点開示結果から考察した「合格するために実現可能な」解答例も例示します。
参考までに、今年の事例Ⅰの各設問と類似するテーマの問題を紹介します。
令和元年 | 類似問題 | テーマ | レイヤー |
第1問 | 平成28年第1問(設問2) 平成27年第1問 | コア資源の多重利用 | 経営戦略 |
第2問 | 平成16年第3問 | 組織文化・組織風土 | 経営組織 |
第3問 | 平成26年第2問 平成20年第1問 | 学習(組織能力) | 経営戦略 |
第4問 | 平成26年第4問 | 組織活性化 | 人的資源管理 |
第5問 | 平成28年第2問(設問2) | 機能別組織 | 組織構造 |
しばらく1・2問目は経営戦略レイヤーの情報整理問題でしたが、今年は2問目に経営組織の問題が出題されました。
今年は1・3問目が経営戦略の情報整理問題でした。
また組織レイヤーの問題も、4・5問目の並びは従来、組織構造→人的資源という並びでしたが、今年はこれが人的資源→組織構造に変わりました。
ただレイヤー特定はしやすい設問でしたので、混乱なく対応できたと思います。
今年の事例Ⅰは問われる理論はこれまでとは変わりありませんが、「問われ方」が難しい年だったと思います。
設問解釈時に時制や条件などをしっかり確認しておかないと、出題者の意図を大きく外してしまうリスクの高い問題が多かったと思います。
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