合格者の再現答案の共通点

えぐちです。

今日は、本試験結果を踏まえてEBA受講生の再現答案を共有したいと思います。

今日紹介する再現答案は、EBＡの再現答案採点サービスの提出者197名のうちトップ３の答案です。

3名ともEBAの受講生で、今年度の2次試験で見事合格されました。

今回は事例Ⅰの再現答案を共有します。

※当サイト内の文章（EBA解答例や再現答案を含む）・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。

ちなみに、EBA採点では197名中でＡさんが2位、Ｂさんが5位、Ｃさんが1位でした。

令和元年度事例Ⅰ

第1問（配点 20 点）

A 社長がトップに就任する以前の A 社は、苦境を打破するために、自社製品のメンテナンスの事業化に取り組んできた。それが結果的にビジネスとして成功しなかった最大の理由は何か。100 字以内で答えよ。

ＥＢＡ解答例	既存事業の経営資源が活用できなかったため。中小メーカーのＡ社にとってメンテナンス事業はコアテクノロジーが活かせない事業であり、異なる事業分野のノウハウを蓄積できず、膨大な数の部品在庫が収益を圧迫した。
Ａさん	コアテクノロジーである農産物の乾燥技術を多重利用した事業ではなく、経営資源の分散を招いたため。顧客の依頼に対応するため補修用性能部品を大量保有し膨大な部品在庫などで競争優位性を構築できなかった。
Ｂさん	A社長が自ら先頭に立って行うなど、経営ノウハウがない中で内部化しようとしたことで、経営資源が分散し、競争優位を構築できなかったから。
Ｃさん	経営資源の多重利用が出来なかったから。コア技術を絞った技術開発によって独自の技術を蓄積し、それを関連事業に活用するなどシナジーを発揮できなかったために、経営資源の分散を招き、競争優位性が築けなかった。

3名ともＡ社の多角化戦略について問われているという解釈に基づき、リソースベースの理論で解答を作成している点に注目してください。

3名とも「市場縮小」といった外部要因には一切触れていません。

またＣさんに至っては与件文を1文字も引用していません。

与件コピペ時代の終焉を象徴する解答と言えます。

第2問（配点20点）

A社長を中心とした新経営陣が改革に取り組むことになった高コスト体質の要因は、古い営業体質にあった。その背景にあるA社の企業風土とは、どのようなものであるか。100字以内で答えよ。

ＥＢＡ解答例	Ａ社は最盛期には現在の数倍を超える売上を上げており、高業績に貢献した古参社員が影響力をもっていた。古き良き時代を知る古参社員たちが新しい事業に取り組む際の抵抗勢力となる現状維持志向の企業風土が存在した。
Ａさん	主要な取引先のたばこ産業は厳しい規制に守られ参入障壁が高く、関連団体からの多数の補助金などがあり、自ら積極的な営業活動をせず依頼に応じることで存続できたため、受動的で保守的な企業風土があった。
Ｂさん	たばこ産業は厳しい規制に守られ、参入障壁が高い業界で、関連する産業振興団体から多額の補助金が生産業者に出る等右肩上がりの顧客であったため、積極的な営業や改善が行われない企業風土。前近代的な経理体制。
Ｃさん	同族経営で参入障壁の高い業界であったために、現状を変えなくても大丈夫だという企業風土だった。葉たばこ乾燥機事業の売上が半分になっても切迫感が生まれず、環境変化に対応しない古参社員達が変革に抵抗した。

3名とも「高コスト体質」について一切触れていません。

設問内容に引きずられず、「企業風土」を軸に解答している点に注目してください。

第3問（配点20点）

A社は、新規事業のアイデアを収集する目的でHPを立ち上げ、試験乾燥のサービスを展開することによって市場開拓に成功した。自社製品やサービスの宣伝効果など HPに期待する目的・機能とは異なる点に焦点を当てたと考えられる。その成功の背景にどのような要因があったか。100字以内で答えよ。

ＥＢＡ解答例	インターネットの普及が背景にあった。多くの依頼を得ることでターゲット市場を絞ることができ、顧客ニーズを製品改良に活用することで、新規事業を必要とする市場の開拓、及び新規市場の販売チャネルが構築できた。
Ａさん	HPで潜在市場の見えない用途など顧客ニーズを効率的に収集する機能に焦点を当て、ニーズに対応した製品開発機能に集中することで経営資源の分散を回避し、これまでアプローチできなかった多様な市場を開拓できた。
Ｂさん	潜在市場の見えない顧客に用途を問い、顧客ニーズを収集・学習して製品開発に生かし、組織能力を構築し、コア技術を多重利用し、競争優位を構築できた。生産農家以外のA社がアプローチできなかった市場にも到達した。
Ｃさん	潜在市場の見えない顧客からニーズを収集することでターゲット市場を絞って資源を集中し、市場からの学習で組織能力を高め、これまでアプローチできなかった様々な販売チャネルの構築など外部資源獲得、ができた為。

3名とも学習（組織能力）を要因として解答作成している点に注目してください。

この解答は試験委員である小川正博先生の著書「中小企業のビジネスシステム（同友館）」で書かれている中小企業理論を根拠としています。

第4問（配点20点）

新経営陣が事業領域を明確にした結果、古い営業体質を引きずっていたA社の営業社員が、新規事業の拡大に積極的に取り組むようになった。その要因として、どのようなことが考えられるか。100字以内で答えよ。

ＥＢＡ解答例	定年目前の高齢者をリストラして従業員の年齢を引き下げたことで組織が活性化した。自社のコアテクノロジーを明確に位置づけて社員に共有し、成果に応じて賞与を支払う制度により営業社員のモチベーションが向上した。
Ａさん	コアテクノロジーを「農産物の乾燥技術」と明示し目的を共有し、経営改革により従業員の年齢が10歳程度引き下げられ、組織が活性化した。成果に応じた賞与を支払うことで意欲が向上したこと。
Ｂさん	コアテクノロジを農作物の乾燥技術と位置づけたことで、目標が明確化され、リストラによる若返りを行い、成果に応じて支払う賞与等を制定したことで、内発的／外発的動機付けの両面でモラルが向上したから。
Ｃさん	定年を目前にした古参社員の退職により組織文化が変革し、組織活性化が起きた。成果に応じた賞与の支給、コアテクノロジーを「農作物の乾燥技術」として社員に共有することで共通目的が明確化しモラールが向上した。

得点源とすべき問題です。

3名とも組織レイヤー（組織活性化と人事施策）で解答している点に注目してください。

第5問（配点20点）

A社長は、今回、組織再編を経営コンサルタントの助言を熟考した上で見送ることとした。その最大の理由として、どのようなことが考えられるか。100字以内で答えよ。

ＥＢＡ解答例	機能別組織の長所を優先したため。営業所間や部門間連携に課題があるが、全社的計数管理が可能で、役員が各部門を統括するためＡ社長の負担が少なく、Ａ社長がすべての部門に目配りすることで組織的対応が可能になる。
Ａさん	経営改革により構築した組織的対応力を維持し、A社全体としての価値提供の仕組みを強化するため。営業部門を副社長、開発と製造を専務、大所高所からA社長が全体を統括することでの実現を図った。
Ｂさん	機能別組織から変更することで、経営資源が分散し、組織的対応力が低下するリスクがあると考えたから。大所高所からの社長や部門を統括している副社長や専務の対応力が希釈化すると考えた。
Ｃさん	経営資源の分散を回避するため。機能別組織であり社長、副社長、専務に権限が集中しており、トップ負担を軽減して意思決定を迅速化するため事業部別組織を検討した。現段階では全社的な経営管理を優先し見送った。

3名とも組織再編＝組織デザインの理論応用と解釈し、機能別組織の長所・短所を軸に回答している点に注目してください。

今回は事例Ⅰを紹介しました。3名に共有していることは、

①設問レイヤーが見事に揃っていること

②与件根拠よりも経営理論に依拠した解答を作成していること

③設問のわかりにくさに振り回されず、題意を捉えていること

ことの３点です。

ここ数年の2次試験では、与件根拠をコピペして高得点を得ることが難しくなっています。

設問解釈をしっかり行うことで、出題者の意図を捉えた解答が可能になります。

12月14日のガイダンスには、口述試験前日にもかかわらず今回紹介した3名が合格者として駆けつけてくれることになりました。

EBAで1年間学習すると何が身につくのかを知りたいという方は、ぜひガイダンスで直接話してください。

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EBA中小企業診断士スクール2020年度対策無料ガイダンスのご案内

１２月は下記日時で開催いたします！
事前の申込不要、参加無料ですのでお気軽にお越しください。

今年の２次筆記試験の合格者も参加してくれることになりましたので、試験までの学習方法等、気軽にご質問ください。

２０１９年１２月１４日（土）１３：００～
受付は１２：３０より開始いたします。
終了後、３０分間は講師やスタッフ、合格者の方へ受講相談やご質問をしていただけます。

場所：フクラシア東京ステーション6階
　　　場所詳細はこちら。

内容：２０２０年度試験に向けたEBAスクールの対策／カリキュラムや学習方法のご案内／EBA中小企業診断士スクールの実務支援プロジェクトについて／合格者の声

終了後、自由に質問や受講相談をしていただけます。
また、テキストや演習等のサンプルも置いておりますのでご自由にご覧いただけます。
ぜひ、お越しください！