大胆に簡素化された雇用調整助成金

えぐちです。

緊急事態宣言が解除され、国内経済活動は部分的にですが再開されつつあります。

再開後の感染再拡大の恐れや秋口以降の感染第二波なども懸念されますが、ひとまず経済シャットダウンの有事は解除となります。

これから各企業は政府が主導する「ニューノーマル」の元で再起を図るべく動き出します。

新型コロナウィルス対策として政府は融資、給付金等の支援策を打ち出し、家賃補助(特別家賃支援給付金)も6月申請開始を目標に進んでいます。

企業の固定費の大部分は人件費と固定費(家賃)ですが、固定費の大部分を占める家賃補助(2/3補助、月額上限50万円、最大300万円の予定)は非常にありがたい制度で一日も早い給付が期待されます。

そして企業の固定費の一方である人件費ついても、国は従来より雇用調整助成金という制度によって補助していました。

しかしこの制度は、申請条件や申請書式がとにかく細かく(支給する気がないのではと疑わしいくらい)、社会保険労務士(社労士)に手続き代行を依頼しないとまともに申請できませんでした。

そのため制度が機能していないとの強い批判を受け、少しずつですが申請要件や書式が簡素化されてきました。

それでも、経営者が自分で書類作成して申請できるレベルまでにはいかなかったのですが、5月19日より、申請条件・申請方法が革新的に簡素化されました。

これなら社労士に委託しなくても自分で申請できます。

そこで今回、「必ず一人でできる 雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金支給申請マニュアル」を作成しました。

以下の要件に該当する企業は、簡素化された新しい書式で人件費の補助が受けられますので、ぜひ申請してください。

雇用安定助成金とは

会社が負担した人件費の一部補助の制度です。

①従業員を休業させて、

②会社が賃金を支給した場合に

支払った賃金の67%~100%が支給されます。

申請できる企業(小規模事業者特例)

 以下の3要件すべてに該当していれば申請できます。

⑴従業員がだいたい20人以下であること

⑵月の売上が5%以上減少していること

⑶従業員を有給以外で休業させて、休業した日の分の賃金を60%以上支払ったこと

 日給9,000円の社員→9,000円×60%=5,400円以上/1日

 月給350,000円の社員→日給(例えば月21日)換算して350,000÷21日×60%=10,000円以上/1日

助成金支給額の例①

東京都の休業要請によって事業縮小した従業員15名の会社が、5名(各人の日給8,000円)の社員に10日ずつ休業させ、休業した日の賃金を100%支払った。

会社の給料支払額=400,000万円

助成金額=5名×10日×8,000円×100%=400,000円(会社負担なし(0%))

助成金支給額の例②

東京都の休業要請によって店舗を休業したため、従業員全員(8名、各人の日給12,000円)を1カ月間(労働を予定した日はこのうち21日)休業させ、賃金を満額支払った。

会社の給料支払額=2,016,000円

助成金額=8名×21日×8,330×100%=1,399,440円(会社負担616,560円(31%))

※1日あたりの上限金額は8,330円です

助成金支給額の例③

従業員20名の会社が、緊急事態宣言により受注が減少したため、3名(各人の日給14,000円)の社員に5日ずつ休業させ、休業した日の賃金を60%支払った。

会社の給料支払額=210,000円

助成金額=3名×5日×8,330円×90%=112,455円(会社負担97,545円(46%))

ざくっとこんなかんじです。詳細は動画で解説していますのでそちらをご覧ください。

今回の助成金の申請期限は給料計算後2ヵ月以内です(一定の条件を満たせば8月末まで延長)。

申請要件を満たしている企業は、遅れなく申請しましょう。

またこれを読んでくれた診断士の仲間は、知り合いの事業主さんに声かけてあげてください。

たぶん制度は知ってても手続きが面倒なので諦めています。