江口の一問解説 No.8 〜2次試験 解答編〜

EBA中小企業診断士スクール 統括講師の江口明宏です。
​今回は、前回の事例Ⅲを使った生産管理理論について、解答を発表したいと思います。

問題

平成24年度事例Ⅲ 第5・6段落

 製品の生産工程は、購入した部分肉の受け入れ検査、一次加工(整形)、スライス、トレー盛り付け、包装、製品検査である。納品は、各顧客からの注文によって週2回それぞれの顧客の配送センターへ配送することが原則となっている。生産計画は毎月20日までに翌月の計画が作成されるが、その時点では顧客からの注文内容は確定しておらず、各営業担当が各顧客への販売数量を予測し、製造部では製品在庫との調整を図って見込み生産を行っている。製造原価構成では原材料費と人件費の割合が大きい。コスト削減対策の1つとして、スライス工程では汎用機を使用すると熟練工を必要とすることから、高い加工技術を必要としない専用機化を進めて人件費の抑制などを行ってきたが、既存の顧客からは一層の製品単価引き下げ要請がある。
 牛肉および豚肉は同じ設備で加工されている。そのため肉種の変更時および部位の変更時などの製品品種切り替え時には、衛生管理を徹底するため各設備機器の洗浄、消毒を行うことになっており、その作業には約1時間を要する。また毎日の作業終了時には作業スペースの清掃のほか、各設備機器は分解して洗浄、消毒することから、2時間程度の時間を必要とする。この清掃、洗浄、消毒の作業は、作業者によってその方法が異なり、所要時間もそれによって変動する。製品品種切り替え時の洗浄などの時間が長いため、ロットサイズは生産性と段取り時間を考慮して製造部で決めている。最も販売数量が多い食品スーパー向けの製品S1と、多品種少量の典型的な外食チェーン向け製品D2の生産累計数と出荷累計数の直近1ヶ月の推移は、図2および図3にそれぞれ示すとおりである。現状は全製品ほぼ同じロットサイズを採用しており、製品によって在庫水準は異なり、欠品によって受注に対応できない場合も生じている。

解答

(設問1)
×ア 製品品種切り替え時の清掃、洗浄、消毒の作業には1時間かかっている。
→製品切り替え時に「清掃」はしていない。
×イ 製品品種切り替え時の洗浄などの段取り時間を考慮して、製品ごとのロットサイズは製造部で決めている。
→全製品ほぼ同じロットサイズを設定している(図からも読み取れる)。
×ウ 外食チェーン向け製品は月に4回生産している。
→食品スーパー向け製品が月4回生産している。
〇エ 製品品種切り替えが1日に2回、1日の労働時間を8時間とした場合、C社の1日の 準備段取り作業時間は約4時間となる。
→準備段取り時間は「ロットごと,始業の直後及び終業の直前に発生する準備,後始末,段 取,運搬などの作業時間」を指し、後始末の時間を含む。品種切り替えに2時間、作業後の 洗浄などに2時間かかり、合計で4時間となる。