江口です。
ガイダンスでは事例Ⅱと事例Ⅳの話は非公開とさせていただきましたので、少しだけガイダンスでお話しした内容をここで披露します。
今年の2次試験でA答案(かつ70点答案)を作成するためには、一昨年とは異なる応用能力が求められます。
それは、平成29年度の試験で明らかになっています。
それを説明する前に、まずは次の問題を見てください。
第3問(配点30点)
B社の経営者が新規事業として学習塾を考えるに当たって、自社の経営資源を分析した。
経営資源には、有形資源と無形資源とがあるが、B社の各々の経営資源について学習塾の経営に生かせるものは何か。
有形資源を(a)欄に、無形資源を(b)欄に、それぞれ30字以内で3つずつあげよ。
これ、平成18年度の問題です。そして、以下は去年(平成29年度)の問題です。
第2問(配点25点)
B社は、ボランタリー・チェーン本部から新たに婦人用ハンドバッグの予約会の開催を打診された。
B社は現在のデータベースを活用しながら、この予約会を成功させようと考えている。そのためには、どのような施策を行うべきか。120字以内で助言せよ。
どうですか?どちらの問題の方が解きやすそうですか?平成18年度の問題、これだけで30点もくれたんですね。
事例Ⅱが、診断士2次試験が10年でどのように進化したかを客観的に理解できる例だと思います。
経営資源を指摘すれば得点できる時代はとっくに終了しています。
そして事例Ⅱは平成18年度から10年間で漸進的な進化を遂げ、平成29年度試験で、またひとつギアを上げました。
それでは、あなたがこの進化を理解できているかを試す目的で、1つ問題を出してみましょう。
つぎのB社の与件(資源)を、2つに分類してください。解答はブログの最後に書いています。
有名鶏料理専門店、伝統的製法、直営飲食店、親と子の快眠教室、中小建築業、副社長のノベルティ、こだわりの日用品、休憩コーナー
どうですか?分類できましたか?ではその違いを言語化してください。
有形・無形資源なんてレベルの低いこと言わないでくださいね。
この問題が理解できないあなたは、これからの2カ月間、いったい何をするつもりなのでしょうか。
あなたはどんな能力を鍛えるつもりですか。それを説明できるまで考えてください。
1次試験を見れば、問われる領域ではなく問われる論点と深さが漸進的に進化していることが理解できると思います。
1次試験と同様に、2次試験も漸進的に進化しています。もちろん事例Ⅰも、事例ⅢもⅣも進化しています。
受験指導機関の役割は、データから導き出した仮説に基づき、それを検証すること。
そして、その事実を記述したうえで、演習問題の作問・添削指導に取り込むことです。
去年の試験は「最新の問題」ですが、またそれは過去の問題である以上、「古い問題」でもあります。
今年はどんな能力が問われると思いますか?
事例Ⅲで「納期遅延の理由は日程計画が差立システムと連動できていない」なんて問題はまだ出題されません。
でも、10年後には問われるかもしれませんね。
彼らがあなたに求める能力は、少しずつですが変化しています。動いてます。
晴天の夜空を見上げれば、月が見えます。止まっているように見えますが、すこし目を離せばもう、違う場所に移動しています。
「過去は気にせずにゼロベースで勝負するゼ。出題者が求める能力に、経営理論などの知識を駆使して発揮してくるゼ」
とても頼もしく聞こえますが、これ、戦略的な学習と言えるでしょうか。
データはあなたを正しい方向へと導く重要な資源です。
診断士として、データを正しく読み、そして正しく活用できる目を養ってください。
それがあなたが求めている資格であり、あなたが求めている能力でもあります。
2次直前期。あなたのもてるすべての資源を注ぎ込み、今年必ず合格しましょう!
問題の解答
グループ1
有名鶏料理専門店、直営飲食店、親と子の快眠教室、中小建築業、副社長のノベルティ
グループ2
伝統的製法、こだわりの日用品、休憩コーナー#