えぐちです。
2次試験では1次試験で学習した理論の応用が求められますが、設問と与件文だけで「応用しろ」と言われても何していいかわからないですね。
2次試験では特に設問解釈(設問文を読み込んで題意を想定すること)が重要で、この工程の精度が低いと出題者の意図を大きく外した解答を作成します。
特定の設問で題意を外すことで他の設問にもその影響を与え、複数問題で大事故を起こすことにもなりかねません。
実際に、昨年の本試験の再現答案評価でも、事例Ⅰで第2問の設問解釈を誤った多くの方がC・D評価となっています。これは第2問の経営特性を十分に解釈せずに与件文を解釈しようとしたことで、組織体制(機能別組織)の理論をベースに解答してしまったことが原因です。
本問はオペレーション効率を高めるための経営資源の選択を意図する問題で、 これは経営戦略のレイヤーに分類されます。つまり出題者は、「組織的な要因は書くんじゃないぞ」という親切心から、「経営体制」という文言を入れてくれたのです。
詳しくはこちらのガイダンス(講義??)で解説していますので興味ある方はご覧ください。
次の3つの設問を比較してみてください。
第2問(配点20点)
A社の正規社員数は、事業規模が同じ同業他社と比して小人数である。少人数の正規社員での運営を可能にしているA社には、どのような特徴があるのか。100字以内で答えよ。
第2問(配点20点)
A社の正規社員数は、事業規模が同じ同業他社と比して小人数である。少人数の正規社員での運営を可能にしているA社の経営体制は、どのような特徴があるのか。100字以内で答えよ。
第2問(配点20点)
A社の正規社員数は、事業規模が同じ同業他社と比して小人数である。少人数の正規社員での運営を可能にしているA社の組織体制は、どのような特徴があるのか。100字以内で答えよ。
いかがですか?違いがわかりますか?
わからない方は残念ですが2次試験には合格できません。
わかった方は、それぞれの違いに応じた異なる解答を作成してみてください。
この問題の出題の趣旨(2017年12月26日公表)は以下となります。
「同業他社に比べて少数の正規社員による効率経営を実現している事業の仕組み及び管理体制について、分析する能力を問う問題である。」
いかがでしょうか。
「効率経営を実現している事業の仕組み及び管理体制」とあり、 本問は「経営資源の管理」を求める問題であることがわかります。
これは試験委員(基本委員)の小川正博先生の著書にもたびたび書かれている内容です。
ちなみにEBAの解答は以下となります。この解答は2017年11月5日時点(出題の趣旨 公開前)で公表したものです。
【解答例】
商品アイテムを主力商品だけに限定して製造部門の負担を軽減させた。製造工程を大幅に変更し、自動化により効率性を高めて人手作業をなくしたことで非正規社員を活用しやすくする等、効率的な経営体制を構築できた。
興味ある方は他の受験機関の解答と比較してみてください。受験校ごとの解釈の違いはかなり面白いですよ。
ちなみにこの問題ですが、 平成25年度の事例Ⅰに出題された問題の繰り返しです。
参考までにその年の問題と、出題の趣旨を紹介します。
平成25年度 事例Ⅰ
第1問(配点35点)
A社は、ここ数年で急速に事業を拡大させている。以下の設問に答えよ。 (設問2)A社は、急速な事業拡大にもかかわらず、正規社員の数を大幅に増員せずに成長を実現してきた。今後もそうした体制を維持していく上で、どのような点に留意していくべきか。中小企業診断士として、100字以内で助言せよ。
【出題の趣旨】
急速な事業拡大を遂げてきたA社の効率的な経営管理体制を今後も維持していく上での留意すべき点について、基本的理解力・助言能力を問う問題である。
興味深いですね。
このように、2次試験では同じ論点を年度をまたいで繰り返し問う傾向がありますが、これは1次試験と同様の特徴ですね。
事例Ⅲの第1問も、平成22年度の問題の繰り返しです。
さて、今年はどの論点が問われるでしょうか?
成果主義やインターナルマーケティングなどは比較的容易に予測できますが、 上記のような理論を予測することはなかなか難しいですね。
EBAではこの傾向を踏まえた演習問題を作成することで、重要な理論を予測し、これに的確に対応できるように鍛えています。
EBAの演習問題はただの「場慣れ」目的ではなく、「今年の2次試験で戦える応用能力」の養成を目的としています。
さすがに今からEBAの直前演習を受講しろとは言いませんが、もしこのブログに何かを感じたのなら、最終オプションの受講をお勧めします。
このオプションが、あなたが今年結果を出せた「重要な理由」になることは間違いありません。
https://www.ebatokyo.com/step2019
おっと露骨な宣伝になってしまいました。勉強方法の話でしたよね。すみません。
みなさんがあまり気づいていない、でも実はとても効果的な勉強方法は、「問題文と設問文をワードで入力する」です。
これにより上記のような、出題者の意図や配慮に気づきやすくなります。
騙されたと思って、まず平成29年度の問題でやってみましょう。
https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html
出題者の意図はわかるわけないなんて言う人がいますが、それはただの努力不足です。
この試験は何十年と続いている国家試験です。受験するみなさんが理解できないレベルの問題を作成するわけがありません。
出題者の意図がわからないなんて、素晴らしい2次試験を毎年作問してくれる試験委員を悲しませるようなことは言わないでくださいね。
出題者の意図は、確実に捉えられるようにできています。そのために「出題の趣旨」があり、そのために再現答案の分析があります。
少なくともEBAはその立場で受験指導をしています。
試験まであと40日を切りました。
あと40日しかありませんが、あと40日もあります。
時間が足りないなんて言い訳している方。
仮に2次試験が半年後なら、1年後ならしっかり準備できる理由を説明してください。
残された時間をどのように有効活用するのか。
そして、今年この試験に決着をつけるため、どの程度の覚悟ができるか。
あなたの未来を決めるのは、ただそれだけです。
あなたの勇気ある挑戦を応援します。
江口明宏