EBAの診断士育成活動について

えぐちです。
今日はEBAの診断士育成支援活動について書きます。

EBAでは診断士受験生・卒業生を対象とした診断士支援活動の一環として、ビジネスツアーを催行しています。
今回、えぐちが支援する海外進出企業の現場を視察してもらう目的で、モンゴルビジネスツアーを開催しました。
受講生・卒業生合わせて約30名が参加しました。

ビジネスツアーでは、海外進出に挑戦したえぐちの支援企業2社とEBAが事業提携しているモンゴル企業の視察、および現地有識者(弁護士や元外交官)によるモンゴルにおけるビジネス環境のセミナーを受けてきました。
11月のモンゴルはマイナス20度を超える寒さです。今回初めて訪蒙した参加者がほとんどですからこの寒さは衝撃的だったと思います。
今回視察した2社のうち1社は、無関連多角化かつ海外進出という、ハイリスク投資を行った企業です。
これまでとは異なる業種に取り組むこと、そして海外に進出することのリスクをどのようにマネジメントしていくのかは、参加者にとっても非常に関心の高い話でした。
海外進出した企業の経営者と直接交流をとってもらうことで、中小企業が取り組める経営革新の現実に具体的に触れてもらいました。

もう1社は国内で飲食店を経営している会社ですが、海外というドメインの選択は、多角化と同様にハイリスクの投資になります。
経営革新はまずトップがやってみせなければ人を動かすことはできません。
この企業の海外進出の意思決定にあたっては、国内幹部からの反対も強かったのですが、社長が強い意思を示して挑戦することになりました。
もちろんこの会社も中小企業ですから、社長自らモンゴルに移住して現場に入る必要があります。

平成14年度の事例Ⅰでは、中古自動車を販売するA社が未経験の飲食店に取り組むという無関連多角化に取り組んでいます。
FCに加盟して、店舗管理経験のない飲食店経験者に支店長を任せて始めた事業ですが、BSE問題により売上減少に直面した際に、有効な手立てを講じることができませんでした。
その理由は店舗運営ノウハウがなかったことではなく、トップが自らこの革新的な投資に資源を投下しなかったからです。
中小企業は経営資源が脆弱ですから、経営戦略上重要な意思決定を下際、自らが関与して資源を投下しない限り、新規事業を成功させることは難しいです。
今年の9月にオープンしたこの会社の飲食店は、わずか2カ月で黒字化に成功し、書き入れ時の12月も順調な集客を得ています。
これには幾多の苦労がありましたが、現地での漸進的な学習により、日々改善を繰り返した結果、モンゴルという国に受け入れられることに成功したのだと思います。
また現地有識者に、EBA受講生・卒業生のためにセミナーを企画していただきました。

今回は、モンゴルにおける企業法務、税務、労務や経済状況など、具体的な話を聞く機会を得ました。
EBAは現地企業と提携した日本企業の製品をローコストで海外マーケティングができる事業も進めています。
今回はまだ準備中で具体的な内容をお見せできませんでしたが、中小企業診断士の中小企業支援ツールとして活用できる資源として提供していくつもりです。
その際、EBAの卒業生が直接取り組む中小企業支援を、現地の弁護士・税理士がサポートできる仕組みを構築しています。
彼らに具体的な支援活動を行ってもらうためにも、有識者(弁護士や元外交官)からの具体的なお話は有益であったと思います。
じつは今回、卒業生1名が現地企業と具体的な商談をすることができました。
詳細はまだここでは書けませんが、日本製品をモンゴルで販売するための商談です。

今月に先方がモンゴルから日本にきて彼の会社のメンバーと話をすることになっています。
彼は企業内診断士ですが、このように、独立しなくても企業内でこの資格を活用することもできます。
ほとんどの診断士は企業内診断士ですから、企業内にあっても資格を活用できるような環境を作ることも重要です。
EBAではこのような支援も継続して取り組んでいきます。
EBAは今後、モンゴルの支援企業の協力を得た実務補習・実務従事にも取り組んでいく予定です。
現在すでに2社の日本企業がいますので、準備さえできればすぐにでも実現可能です(2社のクライアントには承諾をもらっています)。
また提携先企業の診断にも取り組んでいきたいと考えています。
この事業を通じて、診断士の海外展開支援のノウハウを育成していきたいと考えています。

これからはアジアの時代です。
構造的な人口減少問題を抱える日本国内の経済は縮小の一途をたどりますが、このような環境変化において、海外に活路を見出す中小企業を支援するサポーターが必要となります。
それはもちろん中小企業診断士です。
海外進出は非常にハードルの高い投資ですが、だからこそ挑戦する価値があるとも言えます。
診断士として適切にリスクを評価し、これをマネジメントするための支援をし、経営者とともに学習して成長していく。
中小企業診断士は経営革新を支援できる唯一の国家資格です。
この資格を活用できる侍を育成し、多くの卒業生がこの資格と共に成長できるようにサポートしてきたいと思います。