えぐちです。
今日は再現答案の採点データを基に書いてみます。
EBAでは2次筆記試験受験生から再現答案を募集し、EBAの採点基準に基づいて評価しています。
4事例の採点は終了し、現在採点漏れ等がないかをチェックしています。今週末にはフィードバックできると思いますので、協力してくださったかたはもう少しお待ち下さい。
4事例の平均点ですが、高い順に事例Ⅰ→Ⅲ→Ⅱ→Ⅳの順となり、みなさんの体感どおり、事例Ⅳが最も難しかったことがわかります。
EBA基準による評価分布はA評価22%、B評価36%、C評価33%、D評価9%で、協会評価もこれと同様の分布になると思います。
ちなみに事例Ⅳの平均点は素点で36.7点で、EBA基準での36.7点はB評価となります。
A評価は45点以上です。
60点ではありません。
このブログを読んだあなたは、「なんで36.7点でBなんだ?Dじゃないのか?」と思われたと思います。
EBAのこの評価分布の根拠は、過去の本試験での再現答案評価と実際の協会評価結果を基にしています。
今年の事例Ⅳは難しい、ひどいなんて言われていますが、じつは平成25年度は今年よりもひどかったです。
この時、えぐちは「今年(平成25年)の事例Ⅳは、去年(平成24年)と同様、ほとんどがAB評価になる」と分析しました。
えぐちが予想した評価は、A評価38%、B評価33%、C評価24%、D評価5%で、AB分布は71%でした。
この年の協会評価は、A評価27%、B評価44%、C評価25%、D評価4%で、AB分布は71%になりました。
A評価予想は少し多すぎましたが、AB分布では予想通りの結果(71%)になっています。
ちなみにこの年の評価基準は粗点でA評価35点以上、B評価30点以上、C評価20点以上、D評価20点未満です。
(実際はA評価分布が27%だったため、素点で37点以上であったと考えられます)
この年も、「なんで35点でAなんだ?Dじゃないのか?」といわれましたが、実際に3割弱の方がA評価を取っています。
これが事実です。
このうえで今年の事例Ⅳを評価します。
平成25年度のえぐち評価による平均点は33点(最高点58点、最低点15点)でしたが、平成30年度では平均点は36.7点(最高点79点、最低点13点)で、ひどかった平成25年度よりも3点以上高いです。
平均点が高い理由は、今年度の事例Ⅳは「計算過程祭り」と言ってよいほど、部分点調整がしやすい設問構成になっていたためです。
計算結果だけで一気に20点ちかくも差がついてしまう事例Ⅳは、得点結果のばらつきが大きくなります。
事例Ⅰ~Ⅲではこまかく加点対象を調整できますが、事例Ⅳではそれは難しいです。
このため、計算過程を加点調整弁とする目的で使用していると考えられます。
上記より、計算過程が多い今年度の事例Ⅳは、部分点加点の機会が多くなり、結果的に平均点も高くなります。
このため、EBAの予想でも、A評価素点は平成25年度よりも高めに設定しました。
さて、今年の事例Ⅳの計算問題ですが、どれだけの方が正解できたか気になると思いますのでEBAに再現答案を提出してくださったかたの正答率を紹介します。
第2問 | 設問1 | 設問内容 | 解答例 | 正解者 | 正答率 |
① | WACC | 3.30% | 52 | 47.3% | |
② | 要求CF | 6.27百万円 | 11 | 10.0% | |
設問2 | 増加したCF | 3.8百万円 | 57 | 51.8% | |
3設問 | CF成長率 | 1.27% | 1 | 0.9% | |
第3問 | ① | 変動費率 | 73.30% | 24 | 21.8% |
② | 営業利益 | 76百万円 | 19 | 17.3% |
データから読みとれるように、第2問のWACCと増加したCFは半分の方が、第3問の変動費率と営業利益は2割の方が正解しています。
これだけみると、WACCと増加CFはできてないとマズい、なんて思ってしまいますが、結果はそうはなりません。
その理由として、①計算過程による部分点加点があること、②記述問題が多かったこと、の2点があげられます。
まえのブログにも書きましたが、事例Ⅳは計算能力を問う試験ではありません。
このため、計算力をいくら鍛えても、事例Ⅳの評価があがる保証はありません。
1次試験における財務会計と、2次試験における事例Ⅳの位置づけの違いを理解することは、中小企業診断士試験を攻略するうえで重要なポイントになることを知っておくとよいですね。