【2次】平成30年度事例Ⅰ 第1問の設問解釈

えぐちです。

2次筆記試験が終わりもうすぐ1週間ですね。

現在、江口は11月4日の分析会の解説資料を作成しています。



今日は平成30年度試験の事例Ⅰの設問解釈をしたいと思います。

まず、つぎの設問を解釈してみてください。



第1問(配点20点) A社が、相対的に規模の小さな市場をターゲットとしているのはなぜか。その理由を、競争戦略の視点から100字以内で答えよ。



次に、以下の設問を解釈してみてください。

第1問(配点20点)  研究開発型企業であるA社が、相対的に規模の小さな市場をターゲットとしているのはなぜか。その理由を、競争戦略の視点から100字以内で答えよ。



さて問題です。

両者の設問解釈は同じになりますか?

それとも異なりますか?

考えてみましょう。

考えたら、ブログを読み進めてください。



この問題のポイントは、「研究開発型企業」の解釈にあります。

今年2次試験を受験された方は、この「研究開発型企業」をどのように解釈し、

どのように解答に反映させたかを振り返ってください。



中小企業診断士の2次試験を解く際は、「事例企業が中小企業である」ことを強烈に意識する必要があります。

つまり、A社は「かねがねカネがない」のです。



そして、研究開発型企業は研究開発投資負担が大きく、中小企業のA社にとっては資金面の負担は無視できません。



実は平成26年度のA社も研究開発型企業でした。



この年のA社は、

「売上も利益も少ない規模の小さな中小企業が研究開発型企業として生き残るためには、必要な研究開発費を捻出することが重要な経営課題」

と書かれています。



この年のA社は資本金2,000万円、売上高約3億5千万円、従業員数40名(正規社員25名、非正規社員15名)です。

平成30年度のA社は資本金2,500万円、売上約12億円、従業員約50名(ほとんどが正規社員)です。



売上規模こそ平成26年度の3倍強ありますが、資本規模からみても、今年のA社は「経営資源が潤沢だ」とは考えにくいですね。

つまり、設問の「研究開発型企業であるA社」の解釈は、「経営資源に制約があるのにやたらとカネのかかる事業領域で勝負するA社」となります。



解答を単に「A社がニッチャー戦略を採用した理由」で答えるのか、

「金がない研究開発型企業であるA社がニッチャー戦略を採用した理由」で答えるのかで、

採点者への印象はかなり違って見えると思いませんか?



2次筆記試験発表後には診断協会から「出題の趣旨」が公表されますが、えぐちは出題の趣旨は次のようになると考えています。

「研究開発型中小企業であるA社がニッチャー戦略を採用した理由について、基本的理解力・分析力を問う問題である」



設問解釈の重要性を理解していただけたでしょうか。

2次試験は設問解釈の精度で評価が決まるといっても過言ではありません。

来年2次を受験する方は、今年の2次試験を使って設問解釈し、

のちに公表される出題の趣旨と比較してみてください。