1.令和元年の1次試験の振り返り
科目合格率は下記の通りです。
1次試験の合格率は30.2%でした。この数値は新制度になった平成13年試験以降で3番目に高い合格率(平成13年51.3%、平成14年31.7%)です。また科目合格制が導入された平成18年以降では最高の合格率となりました。平成13年・14年試験は実質的に新制度移行調整期と捉えると、過去最高の合格率と言ってよいと思います。
科目別の事前想定に対する結果と、令和2年試験の想定は以下のようになります。
経営法務はやや易化したものの、科目合格率は10.1%と低い数値となりました。「4割は取らせるけど簡単にはしません」という試験委員の意向が窺えます。そして中小企業経営政策が科目合格率5.6%となり、7科目中で最低となりました。昨年の結果から、今年難化が想定される科目は経済学、運営管理、中小企業経営の3科目でしたが、このうち経済学、運営管理は前年並みの難易度となり、中小企業経営だけが極端に難化したことになります。
令和元年では非常に多くの受験生が経営法務を残していたことから、この科目を極端に易化させると1次試験合格者が激増する可能性があるため、「足切り救済は回避、ただし易化しすぎない」という判断になったと考えられます。結果として、経営法務の科目合格率がわずか10.1%にも関わらず、1次試験合格率は過去最高水準となったことからも、この科目の難易度調整にかなり神経を遣った様子が窺えます。
来年度の経営法務について
みなさんもご存じのとおり、来年は民法大改正元年の試験となります。このため、民法科目の強化が必要となるわけですが、法改正直後は判例も乏しいことから、「条文そのまま」問題が増加することが想定されます。この意味では、民法は得点源となる領域です。
また、来年の試験では上述の事由が解消されるため、科目合格率は上がることが想定されます。その意味でも、来年度は得点源にできる科目になります。科目合格率は3~4%上昇すると想定します。
EBAの令和2年度の1次試験対策については、近日中に改めてご紹介いたします。
2.令和元年の2次筆記試験
以下は新制度移行の1次試験、2次筆記試験の受験者数、合格者数の推移です。
今年の1次試験合格者数は4,444名でした。昨年度からの2次筆記試験受験者数は、前年度の不合格者数に占める割合から46%程度となっていますので、約1,800名程度になると想定します。このため2次筆記試験の申込者数は約6,200名程度となります。このうち実際に筆記試験を受験する割合は96%程度ですので、受験者数は約6,000名になると想定されます。
6,000名を超える受験者数は平成14年以降ありません。平成18年以降の受験者数は4,000~5,000名で推移しています。また、気になる合格率・合格者数ですが、ここ10年のデータを見ると、合格率20%以下が8回、20%超が2回です。合格者数は必ずしも受験者数に比例しているわけではありませんので、受験者数増加→合格者数増加という関係は成り立たないと言えます。EBAでは、診断協会は合格者数ではなく合格率を重視していると考えていますので、最近の合格率19%を今年の合格率と想定しています。この想定による今年の筆記試験合格者数は1,150名程度になると考えられます。
ただ、今年の2次試験受験者数急増をイレギュラーな年と判断し、「合格者数は1,000名を超えない」という力学が働いた場合は、15%程度の2次合格率という事態も考えられます。ただ、合格者数が900名を切ることはないと考えています。
いずれにしてもこれらは事後的に調整可能なことなので、事前にあれこれ試算しても無意味ですね。受験者数がどのように増減しても、必ず「2割のできる奴」がいます。そして、今年2次筆記試験を受験される方は確実に「900席の指定席」に座れる実力を養成するためにすべきことをするだけです。
2次筆記試験まで7週間を切りました。やみくもに勉強するのではなく、「何ができるようになるのか」という課題を設定して日々の学習に取り組み、評価しましょう。この時期は定量的な努力が可視化しやすい事例Ⅳに学習が偏る傾向がありますが、4事例バランスよく学習することが重要です。手帳にこれからの学習計画を書いて、日々しっかり取り組んでいきましょう。
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