えぐちです。
新型コロナウィルスの影響について
国内外で新型コロナウィルスの影響が拡大しています。
中国国内での惨状はこれまでにはない非常事態といえる状況です。
国内感染者は今後ますます拡大することが予測されます。
いまだウィルスの全貌が明らかになっていない以上、決して楽観することなく神経質すぎるくらいの対策を講じるべきだと思います。
特に、ご高齢のご家族がいらっしゃるご家庭では、十分すぎるくらいに注意喚起するようにお願いいたします。
新型コロナウィルスでお亡くなりになった方のご冥福を心よりお祈りいたします。
今回は理論の話ではなく、試験当日のことを書きます。
今年の2次筆記試験は10月18日(日)になると思います。
試験当日、事例Ⅰから事例Ⅳまでをどのように過ごすのか。
その具体的イメージをもつことはとても重要です。
よりリアリティをもってお伝えできるように、昨年EBAで合格された方の体験記を引用しながらお話しします。
こちらがその記事です。
毎年そうだが前日はあまり眠れず。
当日は、各事例の前(休憩時間)にEBA模試の設問解釈~概要把握だけを黙々とやった。
このタイミングで知識を入れても本番で使えないと思っていたので、各事例の開始30分のイメトレをやっていた。
終了後は、どう考えても事例2が失敗したのでD評価もあり得るというのが体感。
その他の事例は、事前にやろうとしていたことができた、という手ごたえ。
この方のように当日のシミュレーションをすることは、不測の事態が起きたときに修正するためにもとても有益です。
「各事例の開始30分」というのは、設問を解釈して、初めに与件文の概要を把握するまでの目安となる時間のことです。
この30分の活かし方次第で事例の出来が決まります。
昨年は事例Ⅱ(と事例Ⅰ)が難しかったため、想定通りの処理ができたという実感が持ちにくかったと思います。
この方のように、「事例Ⅱでやってしまった」と感じた受験生がたくさんいました。
この方は「D評価もある」と感じていますが、なかなかD評価は取りにくいものです。
昨年の再現答案結果でも、D評価の割合は最も多くて事例Ⅰが16%です。
<令和元年度2次筆記試験:再現答案評価分布>
科目 | D評価の比率(※) |
事例Ⅰ | 16% |
事例Ⅱ | 6% |
事例Ⅲ | 4% |
事例Ⅳ | 7% |
※EBAの再現答案採点サービスにご協力いただいた方のうち、協会評価(ABCD)をフィードバックしていただいた数をもとに算出
そして、事前に80分でやるべきことを想定していれば、それがかなり崩れてしまったとしても、D評価になることはまずないと言ってよいでしょう。
予めデータを知っておけば、試験当日に無駄にメンタルを削られなくて済みそうですね。
次に、この方の各事例を解いた後の感想と、得点開示結果を紹介します。
事例Ⅰ:EBA採点A評価/協会得点72点(A評価)
理論中心で解答構成していった結果10分余る
解答順:4→5→2→1→3
第1問と第3問は経営戦略レイヤーの問題で、例年難易度が高いです。
昨年度は第1問に「成功しなかった理由」を書かせるタイプの問題が出題されましたが、第1問に「うまくいかなかった」問題が出題されたのは新制度試験(平成13年度以降)初めてです。
その意味では「想定外」の問題であり、この方のように優先順位を下げる対応は妥当で素晴らしい対応でした。
この方は結果的に10分時間が余りましたが、協会得点開示で72点を獲得しています(EBA事前評価もA評価でした)。
この方が仮に、第1問や第3問の優先順位を上げていれば、市場縮小などの与件根拠に引っ張られ、時間管理を崩してしまうばかりか、理論に基づかない根拠を使用した解答を作成してしまったかもしれません。
このような見えないリスクを未然に回避するためにも、事前のシミュレーションが役立っています。
事例Ⅱ:EBA採点A評価/協会得点60点(A評価)
どうしても資源貼り付けが上手くいかず、SWOTは残り5分でやっつけ処理
解答順:3(1)→3(2)→2→1
事例Ⅰ同様に、適切な難易度評価と優先順位付けができています。
設問解釈がしやすい第3問の優先順位を上げていること、そして設問解釈の難しい第2問や、与件根拠の整理に時間がかかる第1問の優先順位を下げている点が勝因です。
この方の感想にあるように、昨年度は資源の対応付けが難しかったため、達成感が得にくい問題でした。
その意味で非常に心が削られる局面だったと推察されます。
気持ちを折らずに午後の事例に取り組めたことも、隠れた勝因と言えます。
この方は協会評価で60点を取っていますので、当日の実感は杞憂であったということになります。
事例Ⅲ:EBA採点A評価/協会得点61点(A評価)
理論中心で解答構成していった結果20分余る(直前期のEBAの演習みたいだった)
解答順:1→4→3(2)→3(1)→2
昨年度は後工程引取方式の問題が出題されました。
これまでになかった理論の出題という点で、難易度が高い問題ともいえますが、経営戦略レイヤーの問題、生産管理・生産現場の問題は、例年通りのオーソドックスな問題と難易度でした。
EBAでは後工程引取方式の問題までは事前に対策していませんが、この方が「直前期のEBAの演習みたいだった」という感想を書かれているのは、この「例年通りのオーソドックスな理論」の部分に注目して、これまで取り組んできたことを発揮できたためです。
これも、当日のシミュレーションを事前に行うことで「想定外には対応しない」原則を全うできたことが勝因であったと言えます。
昨年度の問題は、第3問(設問1と2)の処理に非常に多くの段落が対応付けられていたため、これらの情報を一つ一つ解釈していくと時間内に処理できなくなります。
この方は、「訓練してきた処理だけする」ことができた結果、想定した理論に対応する与件根拠を探したり、想定した解釈に基づく解答作成ができたことで、20分も時間が余りながら、協会評価で61点を獲得しています。
事例Ⅳ:EBA採点A評価/協会得点65点(A評価)
リスクが高そうな第2問(3)、第3問(3)は最初にやらないと決め、他の簡単な問題で絶対にケアレスが無いよう設問解釈と検算に時間をかけた
解答順:1→4→2→3
昨年度は相対的に難易度の低い問題でしたが、ここで欲を出さずに「解かない問題」の選択を事前に行えている点が素晴らしいと思います。
再現答案データでは第3問(3)の正答率は2.1%ですので捨てて正解の問題です。
第2問(3)は正答率54.2%でした(下記記事参照)ので、得点できる問題ではありました。
しかし、この方は「確実に得点を積みあげる」強い意志をもって、背伸びをしないという自制ができています。
協会得点開示結果は65点です。
EBAで集計した協会平均点は61.2点ですので、十分な得点といえます。
また、計算問題よりも経営分析や知識問題を優先している点も、時間管理を想定通りに運ぶために貢献しています。
以上がこの方が当日実践したことです。
事前のシミュレーションが各事例に、また全事例を通じて、これまでの努力を発揮するために貢献したことが伝わったと思います。
この方は、「事例ⅡはDかも」という不安の中で事例Ⅳを解いています。
事例Ⅱの失敗を難易度の低い事例Ⅳで取り返そうと思ってしまう局面でしたが、しっかり自制して「いつもどおり」を全うできました。
もし「今年の事例Ⅳは易化したから全部解かないと差がついてしまう」と解釈したら、まったく違う結果になったかもしれません。
EBAでは各事例70点、4事例280点を上限設定として対策します。
各事例80点は狙って取れるものではありませんが、70点でしたら十分狙えます。
そして4事例すべてで高いパフォーマンスを発揮することも求めません。
あいだみつおが「にんげんだもの」と書かれたように、試験当日はすべてが想定通りになることはありません。
ミスもしますし、心も折れます。
だからこそ、どこかで崩れることも想定内と思うことで、必要以上に緊張しないで実力を発揮することができます。
この方は合計258点で堂々と合格されました。
まだ2次試験を学び始めたばかりのころは、知らなかったことを知る、わからなかったことがわかる、できなかったことができるようになるなど、比較的ポジティブな体験をすることがほとんどです。
しかし、試験当日はネガティブな試練があなたに揺さぶりをかけます。
試験で試されるのは、この揺さぶりに耐えられる力です。
これは想定し、備えれば手に入る力です。
そのために、今年の10月18日を具体的にイメージする機会をもつようにしましょう。