えぐちです。
今日は設問の解釈について書きたいと思います。
設問の解釈というのは、設問文を読む際に題意などを解釈する処理で、与件本文を読む前に行います。
EBAでは事例ⅠとⅢでは15分~20分程度の時間をかけて約5問分の設問解釈をするように指導しています。
今日はこのうち「設問タイプ」について解説します。
事例問題における設問タイプは主に3つに分類することができます。
EBAでは①情報整理、②期待効果、③助言の3つに分類しています。
以下は簡単な設問タイプの説明です。
①情報整理
これまでの事例企業の戦略(取り組み)について、要因と結果で情報整理させる問題
②期待効果
ある戦略(意思決定)について、その結果(影響)を記述させる問題
③助言
ある戦略(意思決定)について、その手段(とその結果)を記述させる問題
令和元年度の問題を使って設問タイプの識別をしてみましょう。
上記の①~③で分類してみてください。
事例Ⅰ第3問
A社は、新規事業のアイデアを収集する目的でHPを立ち上げ、試験乾燥のサービスを展開することによって市場開拓に成功した。自社製品やサービスの宣伝効果などHPに期待する目的・機能とは異なる点に焦点を当てたと考えられる。その成功の背景にどのような要因があったか。100字以内で答えよ。
事例Ⅱ第2問
B社社長は初回来店時に、予約受け付けや確認のために、インスタント・メッセンジャー(インターネットによるメッセージ交換サービス)のアカウント(ユーザーID)を顧客に尋ねている。インスタント・メッセンジャーでは個別にメッセージを配信できる。このアカウントを用いて、デザインを重視する既存顧客の客単価を高めるためには、個別にどのような情報発信を行うべきか。100字以内で助言せよ。
事例Ⅲ第2問
自動車部品メーカーX社からの機械加工の受託生産に応じる場合、C社における生産面での効果とリスクを100字以内で述べよ。
事例Ⅳ第2問
D社のセグメント情報(当期実績)は以下のとおりである。
(設問2)
当期実績を前提とした全社的な損益分岐点売上高を(a)欄に計算せよ。なお、(設問1)の解答を利用して経常利益段階の損益分岐点売上高を計算し、百万円未満を四捨五入すること。また、このような損益分岐点分析の結果を利益計画の資料として使うことには、重大な問題がある。その問題について(b)欄に30字以内で説明せよ。
※事例Ⅳは、計算部分以外の解釈をしてください
いかがでしたか?簡単でしたね。
事例Ⅰ第3問
A社は、新規事業のアイデアを収集する目的でHPを立ち上げ、試験乾燥のサービスを展開することによって市場開拓に成功した。自社製品やサービスの宣伝効果などHPに期待する目的・機能とは異なる点に焦点を当てたと考えられる。その成功の背景にどのような要因があったか。100字以内で答えよ。
A社が市場開拓に成功しており、その成功の背景にあった要因を聞いていますので、これは①情報整理問題となります。
わかりにくい場合は消去法で分類しても大丈夫です。
③助言でないのは明白ですから、①か②かの分類ができればいい。
②期待効果は戦略の効果を記述させる問題ですが、この問題は「要因」を聞いているので違いますね。
事例Ⅱ第2問
B社社長は初回来店時に、予約受け付けや確認のために、インスタント・メッセンジャー(インターネットによるメッセージ交換サービス)のアカウント(ユーザーID)を顧客に尋ねている。インスタント・メッセンジャーでは個別にメッセージを配信できる。このアカウントを用いて、デザインを重視する既存顧客の客単価を高めるためには、個別にどのような情報発信を行うべきか。100字以内で助言せよ。
「助言せよ」と明示されているので③助言問題ですね。
ここで「助言せよ」が「述べよ」となっていても分類は変わりません。
事例Ⅲ第2問
自動車部品メーカーX社からの機械加工の受託生産に応じる場合、C社における生産面での効果とリスクを100字以内で述べよ。
ある原因(受託生産に応じるという意思決定)について、その影響を記述させる問題なので②期待効果問題となります。
②期待効果問題は、「効果」「リスク」「メリット」「デメリット」「影響」という表現が使用されることが一般的です。
事例Ⅳ第2問
D社のセグメント情報(当期実績)は以下のとおりである。
(設問2)
当期実績を前提とした全社的な損益分岐点売上高を(a)欄に計算せよ。なお、(設問1)の解答を利用して経常利益段階の損益分岐点売上高を計算し、百万円未満を四捨五入すること。また、このような損益分岐点分析の結果を利益計画の資料として使うことには、重大な問題がある。その問題について(b)欄に30字以内で説明せよ。
※計算部分以外の解釈をしてください
やや解釈が難しかったかもしれませんが、これは②期待効果問題となります。
「損益分岐点分析結果を利益計画の資料として使う」という意思決定がもたらす影響(問題)を記述させる問題なので、②期待効果になります。
それではなぜ、設問タイプの識別をするのでしょうか。
それは、事例問題で最も基本かつ重要な「解答構成の想定」に必要だからです。
「聞かれたことに答える」という当たり前なことが、2次試験ではできなくなる場面があります。
例えば上記の例にあげた事例Ⅳですが、昨年度の再現答案を採点した際に、「〇〇によっても評価すべきである」といった解答をされている方が数名いました。
このような解答を作成してしまうことの理由は、設問タイプの識別とそのメモが管理されていないことが挙げられます。
出題者の意図は主に①構成と②理論の2つがあります。
このうち②理論がまさに出題者の本懐となる部分といえますが、ここで満足いく得点をするために①構成が重要になります。
この①構成の想定が出題者の意図と外れた場合、その個所は加点対象になりません。
これについては、次回改めて書きたいと思います。
それでは最後に、設問タイプ分類の問題を出します。
答えは次回のブログで出しますので、取り組んでみましょう。
第2問
A社長を中心とした新経営陣が改革に取り組むことになった高コスト体質の要因は、古い営業体質にあった。その背景にあるA社の企業風土とは、どのようなものであるか。100字以内で答えよ。
第3問
X社から求められている新規受託生産の実現に向けたC社の対応について、以下の設問に答えよ。
(設問1)
C社社長の新工場計画についての方針に基づいて、生産性を高める量産加工のための新工場の在り方について120字以内で述べよ。
(設問2)
X社とC社間で外注かんばんを使った後工程引取方式の構築と運用を進めるために、これまで受注ロット生産体制であったC社では生産管理上どのような検討が必要なのか、140字以内で述べよ。
東京オリンピックの延期が決まり、新型コロナウィルスの感染爆発を回避するために、東京都は今週末の自粛要請を出しました。
これを受けて百貨店や映画館などが休館を決めています。若者のランドマークといえる渋谷109も土日は休館します。
安全問題と経済問題のディレンマが顕在化し、世代間・地域間の問題意識のギャップが拡大しています。
世界が混沌さを増していく中、私たちには情報の収集とその解釈、そして判断と行動の質を高めることが強く求められています。
そしてそれは、「コロナ後」の世界を生き残るために必要不可欠な力になると思います。
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