えぐちです。
昨日、2次分析解説会をYouTubeLiveで視聴された方、ありがとうございました。
おかげさまで400名以上の方に参加していただきました。
動画はそのまま残しますので、まだご覧いただいていない方はお時間あるときに観てください。
この動画で解説した解答は当たり前ですが80分で解いたものではないので80分では到底作成不可能です(えぐちはテキスト持ち込み可でも絶対にこんなの書けませんし、書きません)。
あくまでも受験指導をする立場の人間として、出題者が意図した解答を求めたにすぎません。
そのため、実際に合格するために必要な解答はこの解答例とは異なります。
この解答例では、題意、理論、レイヤー、時制、構成を参考にしてください。
そのうえで、実際の解答には、対応する与件根拠を引用できていれば十分に加点されると考えています。
4つの各事例問題はすべての問題が難しいわけではありません。
たとえば事例Ⅰの第1問は比較的対応しやすいですが、それ以外は難問でした。
難しいと思われる第2問と第3問を比べると、与件根拠の解答への引用しやすさが異なることがわかります。
上記第2問では、情報システム化の対象が「複雑な事務作業や取引先との商売を誰よりも掌握していたベテラン女性事務員」のノウハウであると解釈することができます。
そして、それを情報システム化するために、「2年ほど共に働いて知識や経験を受け継いだだけでなく、それを整理して情報システム化を進めた」と明記されています。
つまり、「ベテラン事務員のノウハウを共に働いて受け継いでから、それを整理してシステム化した」わけです。
これは与件根拠を解釈したというより、与件情報を整理するだけです。
この解答に「暗黙知や形式知」「共同化/表出化/連結化」といった理論用語がなくても合格答案として評価されます。
一方、第3問では、「古い営業のやり方を抜本的に見直し」という根拠がありますが、これだけでは設問要求の「どのような能力を伸ばすことを求めたか」はわかりません。
そのため、「抜本的なやり方」を想定しなくてはならないわけですが、この時点で題意をはずすリスクが高まります。
このため、第2問と第3問では同じ難問でも、解答の分散が全く異なります。
両問とも、設問解釈時点で理論を容易に想定できる問題ではないため、与件根拠をみてから判断する必要がありましたが、このように、第2問と第3問では与件根拠を読んだ以降の処理の負荷がまるで異なるわけです。
このため、本番では、第2問では上記の与件文を引用した解答をすればよく、第3問は不用意に与件根拠の対象範囲を拡大せずに、時間をかけないという判断が有効です。
診断士の2次筆記試験では、80分という制約条件での「応用能力」が求められていますので、当然ですができることに限りがあります。
それは診断協会側も百も承知ですので、上記のような与件根拠を編集しただけの解答でも、十分に題意に沿った解答として評価されると考えられます。
各受験機関の公表する模範解答を見ると自分の作成した解答に情けなさすら感じるかもしれませんが、決してそのように感じる必要はありません。
限られた時間内でできる限りの力を発揮しようと努力したことは胸を張ってほしいですし、その努力は必ず望ましい結果に繋がると思っています。
今年は300名近くの再現答案の提出に協力いただきました。
これから1枚1枚、丁寧に採点させていただきます。
そのうえで、合格のための必要十分な到達状態を共有したいと思います。
試験から2週間が経過し、親知らずを抜いたような物足りなさが少しずつ埋まっていきます。
試験の発表まで診断士の勉強と向き合う気持ちは湧きませんが、身に着けた勉強癖は失いたくありませんね。
この時間はぜひ読書に充ててください。
あなたの知的好奇心を満たしてくれそうな書籍をいくつか紹介させていただきます。
事例Ⅰ~経営戦略論
中小企業のイノベーション〈2〉事業創造のビジネスシステム (中小企業のイノベーション)
小川正博著 中央経済社
→試験委員の小川正博氏の本です。2次試験における「中小」企業の視座が理論とともに学べる良本です。
事例Ⅰ~経営組織論
新しい戦略マネジメント
山倉健嗣著 同文館出版
→おなじく試験委員山倉先生の本です。事例Ⅰの組織について理解を深めることができる良本です。
事例Ⅱ~マーケティング論
はじめてのマーケティング
澁谷覚ほか 有斐閣
→昨年から試験委員に加入された澁谷覚氏共著の本です。診断士で学習した各理論を網羅的に学べるので、気分転換と知識の整理に最適な1冊です。
事例Ⅲ~生産管理論
しごとに役立つすぐに使える生産管理ができる事典
田中一成 黒須誠治編著 日本実業出版社
→おととしから試験委員に加入された木内正光氏も執筆されています。網羅的に生産管理やIE、ITについても書かれており、「気軽に読める事例Ⅲの本」といったかんじです。
事例Ⅳ~管理会計論
管理会計
齋藤正章 放送大学教材
→試験委員齋藤氏の著書です。やや読みにくいですが、事例Ⅳが苦手な人は、理論を学ぶ助けになるはずです。今年のROIもばっちり解説してます。
試験後の敗北感、喪失感は痛いほど伝わります。
診断協会に生殺与奪を握られているようななんともすっきりしない日が続いていると思います。
ですが、あなたがこの資格を目指した当初の動機、この資格を取得してなりたかった自分を、この機会にもういちど思い出してください。
いまはまだ道半ばですが、必ず前進しているはずです。
この難関資格に向き合い、逃げずに努力を続けてきた事実を認め、評価してください。
後悔が多いかもしれませんが、それでも挑戦してよかったと思えるはずです。
発表までのこの時間は、ご自身のこれまでの努力を労ってあげる休息期間にしてみてもいいかもしれませんね。